スーパーマリオRPG 七星の伝説』のメイキング映像

否定はしません。 スーファミオーナーの人生は甘美でした。 わずか5年の間に、スーファミのライブラリーは名作で溢れかえり、中でもスクウェアと任天堂が手掛けた名作は群を抜いていました。 ファイナルファンタジーVI」、「クロノ・トリガー」、「スーパーマリオワールド」。 しかし、スーファミに陽が沈もうとしていた頃、密室では前代未聞の2大デベロッパーのコラボレーションが計画されていました。

その結果、任天堂の口ひげを生やしたマスコットがロールプレイングというジャンルに初進出することになったのです。 スクウェアの藤岡千尋氏は、その経緯をこう振り返ります。 “もともとの構想は、最高レベルの会議で決まったものでした。 私が担当したときには、すでに決まっていたのですが、当時の任天堂とスクウェアは非常に親密な関係だったため、一緒にプロジェクトを進めることで、それぞれの得意分野であるマリオのキャラクターとRPGの開発を融合させることができるという背景があったと聞いています。”

生まれ変わったスーパーマリオRPG

スーパーマリオRPG比較

(画像引用元:任天堂)

1996年にスーファミで発売された『スーパーマリオRPG』が、2023年11月17日にNintendo Switchで登場します。

基本コンセプトは単純なものでしたが、その実行はそうではありませんでした。 藤岡氏は「世界観もストーリーもガラリと変わりました。 当初は武器や魔法を使って戦うマリオを想定していたのですが、やはりマリオにはハンマーやジャンプが似合うという結論に至り、設定やストーリーを変更しました。 開発が進んでからも、マリオが武器や魔法を使うかどうかで頭を悩ませていました。 宮本さんも頭を悩ませていたようです。 ようやく決まったのは、雑誌のイベントで2人で登壇したときでした。

“集英社の月刊ゲーム&ホビー誌が主催するイベント「Vジャンプフェスティバル」でのことです。 読者を会場に招待し、発売間近のゲームを出版社が紹介するというものでした。 ここで『スーパーマリオRPG』が初めて世に公開されたのですが、読者や主催者がとても驚いていたのを覚えています。 ちょうどこの雑誌のイベントのときに、マリオの戦闘スタイルを決めなければいけなかったんです。武器や魔法か、それともジャンプやハンマーか。 イベント会場の楽屋でも、宮本さんと二人で話し合っていました。 そして、いざゲームを紹介する番になったとき、私が「観客の拍手の大きさで戦闘スタイルを決めましょう」と言ったんです。 宮本さんは「それでいいんですか」と怪訝な顔をしていましたが、とりあえずその通りにしました。”

スーパーマリオRPG

(画像引用元:任天堂)

実は、スタッフの間でも、マリオがハンマーやジャンプで戦うのが一番いいんじゃないかという声があったんです。 実際にお客さんに聞いてみるのは大きな賭けでしたが、なんとか自分たちの思い通りになるように、ちょっとした作戦を考えました。 まず、突然ですが、普通のビジネスライクな声で、『今回のマリオはRPGなので、武器や魔法を使うのがいいと思う人は拍手してください』と言うと、小さな拍手が起こりました。 次に、元気いっぱいの大きな声で、『でも、マリオなんだから、ジャンプやハンマーで戦ったほうがいいに決まってるじゃないですか。 あの人たち、今すぐ拍手してください!』と言うと、たくさんの拍手が起こりました。 宮本さん、ご心配おかけしました!”

RPGをマリオに

スーパーマリオRPG

(画像引用元:任天堂)

マリオがRPGに登場するという意外性はさておき、観客は彼の新しい3Dルックに驚かされました。 チームは、任天堂が『ドンキーコング・カントリー』シリーズのためにレアに購入を許可したのと同じシリコングラフィックスのワークステーションで懸命に作業していました。 ゲームの初歩的な2Dバージョンは作成されましたが、3Dへの移行計画が最終決定する前に、主にマリオの動きと能力のテスト場として使用されました。

「当時、スクウェアは映像表現に力を入れていて、スーパーファミコンというハードが2Dでできる限界まで追求していました。 「もちろん、当初は従来の2Dマリオのトップダウンマップだったのですが、かなり早い段階で斜め3Dのパースペクティブに修正したので、それ以降はグラフィックデザイン全体もそれに合わせることになりました。 SA-1チップを搭載したとはいえ、スーパーファミコンではリアルタイムに3Dを表示することはできなかったので、プリレンダリングという手法になりました」。

“当初、マリオは魔法を使って戦うと考えていましたが、ハンマーやジャンプのほうが向いているという結論に達しました”

このSA-1チップは、スーファミのゲームを時代とともに進化させ続けた任天堂のもうひとつの強化武器。 セガがメガドライブの陳腐化を防ぐために高価なアドオンシステムを開発していたのに対し、任天堂はゲームカートリッジ自体に特殊なコプロセッサチップを搭載してハードウェアを強化することを選択しました。 おそらく最も有名なのはスーパーFXチップで、『スターフォックス』や『スタントレースFX』などのゲームでリアルタイムの3D効果を処理していました。 Super Accelerator 1は、日本以外ではあまり一般的ではなく、海外で発売されたゲームは3つだけでした。 「SA-1チップはスーパーファミコンの4倍の処理能力を持っていました。 スーパーマリオRPG』はポリゴンを使っていませんが、全体が3Dフィールドになっているので、その演算に力を使いました。 また、通常よりも多くのキャラクターを使うことができました」。

マリオの進化

スーパーマリオRPG

(画像引用元:任天堂)

このゲームは主にスクウェアの作品でしたが、任天堂は、マリオが新しい次元とジャンルに移行しても、チームがバタバタしないように配慮しました。 「SA-1チップを始めとするさまざまな新しい技術や、スーパーファミコンで擬似3Dを表現するアイデアなどを提供してくれました」と藤岡は振り返ります。 マリオの世界観を壊さずに、RPGの世界にマリオが入り込めるかどうかということと、ゲームの面白さのコンセプトです。開発初期に『スーパーマリオRPG』のゲーム性を提案し、”みんながやりたいけど、誰も実現できていないことを実現したい “と言ったら、宮本さんがOKしてくれたんです」。

スーパーマリオRPGのピーチ姫

(画像引用元)

藤岡は、ゲーム内で黄色いブロックを移動させるスクリプトを書いているときに、宮本氏からアドバイスを受けたことをもうひとつ覚えています。 マリオが着地したとき、一瞬だけブロックが止まるようにしてみてはどうか、と。 「すぐにコードを修正したところ、ゲーム性がすごく良くなりました。 宮本さんのゲーム操作へのこだわりを目の当たりにできたのは、とてもいい経験でした」。

「スーパーマリオRPGのキャラクターと軽快なストーリーと脚本は、ゲーマーと批評家を魅了しました。

「マリオのアクション性をRPGでどこまで表現するか、さらにそれをどう実現するか……このあたりが難しかったですね。 プログラミングやスクリプトに関しても、登場するイベントのほとんどにインタラクティブなゲーム性があり、そのコードをひとつひとつカスタマイズしていくのは大変な作業でした。 3Dデータも背景からキャラクター、アイテムに至るまで作成したのですが、初めての経験で大変な作業でした」。

4MBのカートリッジにSA-1チップを搭載していたとはいえ、「ゲームの内容でいうと、開発スタッフも忘れているかもしれないのですが、後半に変身するボスキャラを入れる予定があったんです。 コーダーを説得して変身プログラムを組んでもらい、一気に作ってもらったのですが、元の姿がどんな姿だったのか忘れてしまいました(笑)。 このボスのスケッチは2枚用意したのですが、テスト中にすっかり変わってしまったような気がします」。 残念ながら、当時はROMの容量から多くの部分を削る必要があり、変身ボスは幻のキャラクターでしかありませんでした。

スーパーマリオRPG

(画像引用元:任天堂)

“他にも、最終的なゲームにならなかった初期のアイデアは結構あったのですが、できなかったというよりは、出発点だったと言った方が正しいかもしれません。”それらは、ゲームの開発過程を通して変化していきました。 例えば、マップのある場所でマリオに装置を使わせ、それが他の場所の様々な装置にドミノ効果をもたらすようにしたかったので、初期の頃は、”連鎖反応 “というキーワードのようなものを元にアイデアを練っていました。 そこから発展して、アクションに重点を置いたイベントのあるすべてのエリアができました。”

七つ星

スーパーマリオRPG

(画像引用元:任天堂)

スーパーマリオRPG』は、その技術的な完成度だけでなく、登場するキャラクターや軽快なストーリー、脚本がゲーマーや批評家の心を掴みました。 マリオの長年の宿敵であるクッパにさえ、初のコメディ役が与えられました。 クッパはピーチを誘拐してプレイヤーキャラクターを脅すのではなく、彼らと手を組み、盗まれた城のことで泣いたり、孤独であることを俳句で詠んだり、マリオが仲間に加わったことを皆に納得させようとしたりして過ごします。 「宮本さんからは、登場させたいキャラクターは伝えていただきましたが、特にルールはなく、自由にやらせていただきました」と藤岡氏。 「クッパのセリフや表情は、各エリアやイベントの担当者が自由に作りました。 宮本さんが怒らなかったので、大丈夫でした!”

スーパーマリオRPG

(画像引用元:任天堂)

このゲームから生まれた不朽のオリジナルキャラクターといえば、ジェノ。 スクウェアと任天堂の間の法的問題により、この木偶の坊は本格的なカムバックを果たせませんでしたが、カルト的な人気を保っています。 ジェノの人気は後から知ったので、『スーパースターサーガ』で再登場してもらいました(笑)。 どうしてこんなに人気があるのか知りたいですね! 人形に命が吹き込まれたような、どこか奥ゆかしいところがあるから、みんな興味を持つのだと思います」。

スーパーマリオRPGはニンテンドー64が発売される数ヶ月前に発売され、すぐに成功を収めました。”スーパーファミコンを持っているゲーマーの数が最も多かった時期で、そのおかげでたくさん売れました。 一方で、N64が発売されず、スクウェアがプレイステーションに亡命したため、真の続編を作ることはできませんでした。”

その上、スーファミでマリオの最後のゲームに携わったことは、苦い経験だったに違いありません。 「藤岡氏は、「まったく想像もしていませんでした。 実際、Vジャンプフェスティバルで宮本氏がこのゲームがマリオの16ビット最後の作品になると発表したとき、藤岡氏のリアクションは短く滑稽なものでした。

この記事はレトロゲーマー誌に掲載されたものです。

GamesRadar+は任天堂との有料パートナーシップの一環としてこのコンテンツを作成しました。 本記事の内容は完全に独立したものであり、GamesRadar+の編集意見のみを反映したものです。

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Frenk Rodriguez
Frenk Rodriguez
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